階戸照雄教授


「経営学は,学問を実務にどう生かしていくかが重要なんです」

Q.担当科目の概要について教えてください。
 担当科目の3科目についてご説明します。

■グローバル経営戦略論・・・グローバル時代の国際戦略/企業戦略や経営の体制について教えていきます。具体的な内容としては,ハーバード大学のマイケル・ポーター教授の「ポジショニングアプローチ」やバーニー教授の「資源アプローチ」という理論から,新しいものでは私が留学していたことのあるフランスにあるビジネススクールのINSEAD(インシアード)のW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授による「ブルーオーシャン戦略」まで,経営戦略の理論の流れも押さえます。そのなかで,日本企業の国際戦略/経営戦略を学んでいきます。

■地域金融機関経営論・・・本論の目的は,実際の経済行動・企業行動の中で地域金融機関の経営がなされている状況をイメージできるようになることにあります。教材は具体的な事例と理論との橋渡しをしていますので,実際に業務に従事した経験を有する専門家がまとめた資料を参考図書であげています。本科目の履修に当たっては,更に踏み込んだ具体的知識の修得を必要とする場合に活用していただきたい。

■ファミリーガバナンス論・・・MBAコア科目とは異なり,ファミリービジネスに特化したミニコースとも言えるコースを新たに設置しましたが,その科目群の1つです。他の科目としては,従来より,開設しているファミリービジネス論があり,今回新設したファミリーファイナンス論,事業承継論があります。ファミリーガバナンス論では,パレラルプランニングリ理論を中心に,概論を展開します。ファミリー企業の後継者や予備軍,またこれら後継者・予備軍を今後サポートする可能性のある方には, これらファミリービジネスのミニコースを履修頂きたいと思います。 この分野は経営学の中の学問としては,比較的最近出てきたものですが, 米国やフランスの事例等も勘案しながら,これからの日本で益々必要となる企業継承の問題・課題を種々の角度から取り上げていくつもりです。

Q.先生の研究テーマについてお聞かせ下さい。
 
私は,企業のあり方を考えるなかで「企業は誰のものか」という,Corporate Governance(企業統治)(含む社外取締役制度)を研究の1つのテーマにしています。企業統治(含む社外取締役制度)については様々な議論がなされているのですが,企業統治(含む社外取締役制度)が進んでいるアメリカでも結論が出ていないんです。2001年12月2日にアメリカの大手エネルギー会社エンロンが倒産したことをきっかけに明るみに出たエンロンの粉飾決算事件でも,不透明な企業統治が問題になりました。アメリカでは企業は株主のものという考えが主流になっていますが,日本やヨーロッパでは株主だけではなく従業員や経営者,仕入先や企業を取り巻く地域社会まで広範囲に及ぶ考え方もあります。そういった様々な考えを踏まえて,企業は誰のものなのか,企業をコントロールしていくにはどうすればいいのかを追究していくのが私の研究課題のひとつです

 また,別の研究テーマであり,最近の主な研究テーマであるのは,ファミリー企業の経営に関するものです。日本企業の大宗は,ファミリー企業(同族企業)であり,日本経済発展における役割は極めて重要です。2008年9月,他の先生方とファミリービジネス学会を立ち上げ,以来,事務局を担当しています。ファミリービジネス学会では,研究をより高次元で推し進めるために,歴史学,家族心理学,経営学,文化人類学など多様な学問分野との積極的な連携をはかり,研究の相互交流とそれぞれの発展をはかっています。また,研究者に限らず,学術的な研究に関心の高いファミリー企業経営者,コンサルタントなどにも参加を呼びかけています。