階戸照雄教授

「大学時代のディベートの経験が,実務の基礎として活かされています」

Q.経営学を専攻されるようになったきっかけ,これまでの経歴などについてお聞かせください。
 大学時代は外国語学部でイスパニア(スペイン)語を専攻していて,在学中にメキシコへ1年間留学をしたことがあるんです。そのときに言葉だけじゃだめだと感じて,企業に入って勉強しようと考えるようになったんです。それで当時,国際部門を強化しようとしていた都市銀行に入ることに決めました。銀行に入って3年目に,フランスのINSEADに留学する機会があって,そこでMBA(経営学修士)を取得しました。どう企業を動かしていくのか,実際の企業を体験して,その上で経営学を学ぶ機会を得たのが,経営学を志すようになったきっかけです。
 教授になる前は,富士銀行/みずほ信託銀行(現 みずほフィナンシャルグループ)に25年間勤めていました。国内では,大手の企業の担当やDealing(資金ディーリング取引),また,できたばかりの金融先物取引所に出向する機会があって,そこで企画課長を勤めていたこともあります。海外ではロンドンとパリに,留学も含めると10年間赴任していました。そのときの実務の経験に,INSEAD大学院時代やその後の研究を合わせて,経営学を教えています。

Q.どんな学生生活をおくられていましたか?
 学生時代は,English Study Society(英語研究会)というクラブに所属していたのですが,クラブ活動ばかりやっていました。英語でディベートをするのですが,私がキャプテンとして参加し,全国大会でベスト8に入ったこともあります。ディベートでの経験は,その後の経営学にも役に立ちましたね。ディベートは必ず肯定側と否定側に分かれて行うのですけど,議題に対して自分が肯定側の意見を持っていたとしても,否定側に立っていたら否定側の意見を言わないといけないんです。言い方にもルールがあるので,思考を磨くということではとてもいい訓練だったと思います。物事を見るときに片面だけを見たらAと見えるものでも,よくよく見るとBという見方もできる。さらに,Aを上手く使うことでBが活きてくるという局面もあるので,両方の見方がわかったうえで行動できるというのは大きいと思います。欧米で現地ビジネスマンと日々取引をしていましたが,そのときはディベートでの経験が役に立ったな,と思いました。取引をするときに,相手は自分たちにとって不利な材料を見せないで,いい材料だけしか出してこないですからね。相手の裏を読まないといけませんし,自分の意見はこうだってひとつの見方で思い込んでいると,相手の裏を読むことはできなくなってしまいます。なので,自分個人の意見とは別にAとBの両方が見れるようになったのはディベートのおかげですね。25年間のビジネスマンとしての土台を作ってくれたのはディベートだと思います。時々,ゼミのなかでディスカッションするときに,ディベート形式で行っています。自分とは別の意見の人と話すことによって,筋道の通った思考ができるようになるんです。

Q.インターネットを使った通信教育について,どのようにお考えですか?
 私自身はインターネットを通じて教育を行うのは本学に来て初めてなのですが,あらためてインターネットを通じた通信教育というのが,これからの教育のあり方だと痛感しています。いつもある場所に来て勉強しなければいけないというのは,非常に制約が大きいんです。インターネットを使った通信教育のツールが発達してきたお陰で,物理的な制約が解消できるインターネット通信教育は,今後益々大きな流れになっていくと思います。