竹野一雄教授

「空を見ながらぼーっと過ごすこともありますね。そこで自分の卑小さや、ごちゃごちゃとした世界のことを考えてみたり」

Q.読書の好みや傾向についてお聞かせください。
 イマジネーションに富んでいて、なおかつ論理的に構築された作品が好きですね。あまり情緒的なものは、ちょっと好みではないかもしれません。それが分からないわけではありませんし、またそういう時代が私にもありましたけれど。
 浪人時代は内村鑑三、キルケゴール、そして学生時代はドストエフスキー、ヘッセ、ジイド、マーク・トウェイン、ホーソンなどいろいろ読みましたが、男性作家では、ディケンズ、トマス・ハーディ、D・H・ロレンス、モーム、ジョセフ・コンラッド、グリーンなどといったイギリス小説が好きですね。ダンテとシェイクスピアも折に触れて再読しています。
 またファンタジーではC.S.ルイスはもとより、トールキン、チャールズ・ウィリアムズが好きですね。ウィリアムズの方は日本であまり読まれてませんし、また翻訳も1つぐらいしか出ていないんですけども、非常に重要な作家なんです。超自然的な力がこの世界に入り込んで来るという作品です。ハリウッドが映画化しないことが不思議なぐらいですよ。

Q.趣味・休日の過ごし方は?
 散歩や音楽鑑賞といったように、基本的にのんびりすることが好きなんです。同じ風景を見ていても飽きませんし。
 陽気の良い日には、近所の荒川へ出かけていき、土手に寝ころび、空を見ながらボーっと過ごすこともありますね。そこで自分の卑小さや、ごちゃごちゃとした世界のことを考えて思わず笑い出したり、世界の悲惨を思い、無力感と悲しみを覚えたり、いろいろと思いめぐらすこともありますが、何より、リラックスできますから。
 あと、海や山も好きですね。登ったりはしないんですけども。しかし家内は登るのが好きなので、いつも別行動だったりします。
 また、実は指揮者になりたかったこともあるぐらい、音楽は好きなんです。リードオルガンは今でも弾きますし、高校時代クラッシクギターやコーラスをやっていた経験もあります。ビートルズやナルシス・イエペスの「禁じられた遊び」、アンドレ・セゴビアの「アルハンブラ」などを良く聴いていましたよ。
 それと最近買ったCDとしましては、2004年にイギリスに行ったときエルガーのシンフォニーを買いました。イギリスの音楽は、聞いていると心が落ちつきますね。2006年もイギリスでCDを買い込んできました。2007年には海外研修の許可を得て、ロンドン、エディンバラ、ベルファスト、ダブリン、湖水地方、パリ、ヴェネチアの風土を視察してきました。旅の経験を研究と教育に生かしていきたいと思います。

Q.志望者に向けて、一言お願いします
 今までこうした分野を勉強してきて、それをさらに深めたいと思っている方、また逆に全然経験はないけれども、指導してもらえるならやってみたいという方、どちらでも私は歓迎します。
 ただしその際、本気で来て欲しいです。仕事をしながらの方が多いでしょうから大変だとは思いますが、そうした気持ちさえあれば、きっと目標とした論文を完成できると思いますので。

Q.先生にとっての学問とは?
 ソクラテスではありませんが、自分の無知を知ることではないでしょうか。私は学問をやればやるほど、自分の無知を実感します。また逆に、それが学問の魅力のように思いますけど。終わりのない探究かもしれません。
 それと、いろいろなことを知って成長したい、成熟した人間になりたいが為に学問をするというのもありますね。アシュレー・モンタギューという人が「愛することと生きることがひとつであるかのように生きること」と言っているのですが、私も学問に対し、似たようなことを考えています。やはり、学ぶことと生きることが結びつかないと、それは問題ではないでしょうか。知性の方向性が大事ですね。学問は自己自身の内部において、また他者との関係において対立する欲求を生産的に調和させる力となるべきだと、そう思うんです。私はこれまでそのような学問を志してきたつもりですし、これからも、そうしていきたいと思っています。