北野秋男教授


対面指導や合宿形式の研究会を重視しています

Q.担当科目を教えてください。
 「学校教育学特講」という科目を担当しています。この科目では初等教育・中等教育・高等教育など学校教育全体に関する教育の制度,内容,方法,評価の研究,ならびに学校運営・経営のあり方などを考えて頂く科目として設置しています。戦後の日本の教育・学校制度は日本独自のものではなく,多くはアメリカの影響を受けたものです。一番分かりやすいのが6-3-3-4制の単線型学校制度,教育委員会制度,大学院制度などですが,そこに日本の伝統的な風土や文化が加わり,日本的な教育・学校制度ができあがったと言えます。たとえば,「学級王国」「職員会議」「教員研修」「学校給食・掃除」「学校体育」など,日本人の思考様式や習慣を反映した日本独自の制度ができあがっています。外国にはない日本独特の伝統や文化・習慣などを反映した制度として考えてみることはとても面白いし,重要でもあります。
 現在,私は日本とアメリカの学力テスト政策の比較研究を進めています。特に,日本の学力向上を目的とした国や地方自治体の学力テストの理論と実態を解明する作業を行っています。現在,日本でも学力低下批判が行われていますが,実は日本ほど学力が平均的に高く,安全な国はありません。これも質の高い日本の教員の努力の賜物です。こうした学力向上を目的とした「学校・学級経営」「教員研修」「授業改善のあり方」「教育評価のあり方」なども実態に基づいて調査研究しています。全国の自治体の学力向上政策の実態を解明することは大変ですが,地方の様々な取り組みを知ることは大変興味深いことです。
 学校教育は,近代に起源し,その後に発展したものです。今日では,現代社会を支える「巨大な装置」になっています。私たちの人生にとっても,学校教育は必要不可欠なものですが,同時に,大きな問題も抱え込んでいます。こうした学校教育に関する諸問題を,社会構造や思想構造を背景としながら,実証的に解明していくことを重視しています。現在進行中の教育改革は,将来の日本のあり様も左右する大きな問題です。

Q.学生のテーマは具体的にどんなものですか?
 
研究指導の方法は,対面式の特別研究指導(年間4-6回)と合宿形式の研究会(年間2回)を最も重視しています。対面形式の研究指導は,通信制大学院では最も重要な指導方法です。院生の皆さんが自分の研究内容を指導教員だけでなく,他の院生の皆さんにも知ってもらい互いに切磋琢磨する機会です。そして,毎回終了後には反省会も実施し,互いの人生を語ることも楽しみの一つです。2泊3日の合宿では研究指導だけでなく,時間があればスポーツ大会や修了記念祝賀会なども開いています。研究とは一人でするものではなく,多くの仲間と色々な情報交換や問題点の議論などを通じて進めていくものです。
 通信制大学院では,顔を合わせる機会が一般的な大学院と違って少なく,逆にメールなどでのやりとりが多くなります。ですから,学生さんと教員が直接的に対面して行う指導は大変重要です。論文を書いた経験のない社会人の方も多くいらっしゃいますが,この対面式の特別研究指導や合宿形式の研究会に毎回参加して頂ければ,必ず立派な修士論文を作成することができます。立派な修士論文を完成させるために,一緒に様々なことを学びましょう。

Q.指導法に特色はありますか。
 
やはり顔を合わせる機会が少ないですから,学生さんにとってはやりづらい部分があるかもしれません。もちろん入学試験や入学式で顔を合わせてはいますけど,あまり面と向かって話したことのないままに,メールでのやりとりが始まってしまいますからね。余り相手の事を知らない人にメールを出すということは,ちょっと労力が必要だと思います。それを考えると,ネットを使って授業を始める前に,もう少し学生さんと教員が知り合う機会があると良いかもしれません。
 ですから,特にレポートや修士論文を採点する時に,相手の顔が見えないのは大変ですね。論文を書いた経験のない社会人の方も多くいらっしゃいますから,場合によっては相当な修正が必要になることもあるんです。それを文字だけできっちり指導しようとすると,冷たい印象を与えてしまうこともあるようです。直接会って話せば,そういう印象を持たれることもないと思うんですけども。とはいえ,現状で行える最善のことをすべきですから,色々と工夫しています。
 たとえばレポートの採点をする場合など,私は必ず全員にコメントをつけて返却するようにしています。「レポート」というものに対してもっと厳しくすべきだと考える先生もいらっしゃるので,必ずしもすべての教員がやっているわけではありませんけども。
 また合宿や研究会の場で,もしくは頻繁に会合を開くなどして,みんなで会って意見交換ができる機会を極力持つよう心がけています。
 それともちろん,メールで何かを聞かれたら必ずお答えするようにしています。こちらから何かメールをお送りすることは,残念ながら時間的に厳しくできません。その分こうしたときに,できるだけコミュニケーションをとれるよう努力しています。

Q.「学び舎のつどい」(OB・OG会)も年に1回行います。
 
大学院の修士課程・博士課程を無事に修了された場合でも,希望者には任意でOB・OG会の「学び舎のつどい」を毎年8月に企画・運営しています。平成25年度からスタートした「学び舎のつどい」は,それまでの修了生のOB・OG会をリニューアルしたものです。「学び舎のつどい」はたんなる同窓会ではなく,日本大学総合社会情報研究科で教育学を学んだ方々の研究・教育の情報交換の場です。
 教育学専攻のOB・OGの方は,大学,専門学校,公立学校の教員だけでなく,一般企業や公務員の方も多く,それぞれが社会で立派に活躍されています。そうした職場の問題,地域社会の問題など,様々な情報を持ち寄り,自らの研鑽を行い,わずかでも世のため,人のため,社会のために貢献することを目的としています。内容は「海外に行った経験」「職場の研修制度」「地域社会の人的交流」,そして「楽器の演奏」など様々な話題やパホーマンスが飛び出します。実は,この会には和楽器・西洋楽器の演奏のプロの方もいます。この趣旨に賛同される方は,年1回の研究集会に参加されると同時に,日常的に教育・研究に関する情報交換を行うことになります。詳しい内容に関しては「学び舎のつどい」ホームページhttp://www.ooizumi.jp/kitano-semi/index.htmをご覧下さい。