北野秋男教授

この多様化の時代にこそ,確かな信念を持った人材を育成する必要があります

Q.先生の研究テーマについてお聞かせ下さい。
 長いあいだ,アメリカの教育思想や学校制度の歴史を研究してきました。現在は,日本とアメリカの学力テストの比較研究などに取り組んでいます。比較研究とは,その国の歴史,文化,人種・民族,宗教など多様な側面から比較・検証することです。たとえば,日本は学校スポーツがものすごく発達しましたが,アメリカは地域スポーツです。また,日本の職員会議は教員全員が参加しますが,アメリカには日本のような全員参加の職員会議はありません。こうした違いは,なぜ生まれたのか。いろいろ調べると,面白いことがたくさん出てきます。研究の醍醐味です。「研究していて,よかったな」と思う瞬間です。院生時代から取り組んできたアメリカの教育研究で,2002年3月に日本大学大学院文学研究科から博士(教育学)の学位を頂きましたが,それまでの研究成果を集大成したものです。しかし,「学位」とは「研究の終わりではなく,始まりである」と肝に銘じています。
 現在,取り組んでいるのは「学力などの教育・地域間格差の問題」「地域が支える地域運営学校(コミュニテイ・スクール)のあり方」,そして「若手研究者養成としてのポストドクター問題」です。色々なテーマを持って,国内調査や海外調査も行います。これも研究の楽しみの一つです。

Q.研究者になったきっかけは?
 私が研究している教育というものは,普通の人なら誰でも経験していることです。そして,この教育の問題に関しては多くの方が興味を持っているはずです。体罰や暴力といった生徒と教師間の問題。また友だち同士のいじめ。大なり小なり,教育現実の世界では様々な問題が起こるわけです。やはり多様な人間が大勢集まってくるわけですから。私もそうした現実の教育問題に興味を持ちました。そして,私がそれを学問的にやろうと思ったきっかけは,大学時代に出会った恩師のおかげかもしれません。その恩師には研究の楽しさを,そして大切さを教えて貰いました。
 私の研究の中身は,簡単に言ってしまえば,教育に内在する様々な問題を理論的に,実証的に考えるということです。私が研究の対象に選んだのは,日本とアメリカの比較研究でした。たとえば,日本の戦後教育はアメリカの影響を強く受けていますから,アメリカから日本の教育問題を考えたいと思いました。逆に,アメリカ人も日本人の勤勉さ,誠実さを称賛します。とりわけ,日本の学校や教師の質の高さに驚きます。アメリカの研究者が日本の学習指導要領を見て「びっくり」して,アメリカにお土産に持ち帰るという話しもよく聞きます。互いの長所を習い,問題点を改善する。進歩への第1歩です。
 研究は,たんなる「お勉強」ではありません。繰り返しになりますが,自ら課題を見つけ,自ら考えて,問題を追及することです。それが研究ですし,研究者の姿勢です。