北野秋男教授

研究をしながら,人生を考える

Q.趣味,休日の過ごし方は?
 1999年に,アメリカのボストン大学で1年間の研究生活送った際に,考え方が少し変わりました。実はハーフ・マラソンに挑戦するようになりました。学生と一緒に駅伝に出ることもありました。青梅マラソンで30km走ったこともあります。しかし,10年間続けたマラソンも,高血圧のせいで辞めました。挫折です。
 やはり健康は,研究者にとって最も大切なものです。研究者といっても,頭で研究をやることもあれば,身体,つまり足腰を使って資料集めなどもします。それに若い学生さんと付き合うにも体力が必要です。研究を続ける前提条件は,「一に健康,二に家庭,三に仕事」です。この三つをクリアーしてこそ研究を続けることが可能になります。
 したがって,休みの日はスポーツ・クラブへ通って,週に最低でも一度のトレーニングは欠かさないようにしています。テニスや卓球も好きで,大学院の合宿でも,しばしば院生の皆さんと勝負します。「若い者には負けん!」。体力の衰えを気迫でカバーしています。

Q.志望者に向けて,一言お願いします
 大学院に来て,いきなり研究することは難しいでしょうし,また,論文を書いたことのない人も多いでしょうから,そういう能力は特に求めていません。大学院で研究しようと思う場合,何より大切なのは問題意識だと思います。人間は誰しも日々の暮らしにおいて,様々な人間関係のなかで色々な経験をしています。そこでどういう問題意識を持てるかが重要になってきます。そこで問題意識を持っていれば,きっと目の前を横切っていく様々な事象が見えてくるはずです。問題意識がなければ,それは何も見えないわけです。
 我々はどんな人間でも,ほかの人間と関わっています。また,過去の思想や哲学にも影響されています。それをどういう目で見るか,どういう風に考えるかが研究するということです。自分の持っている経験に対し問題意識を持ち,それを理論で考えていくのが研究です。問題意識を持つというのが,最も大切なことです。
 また知識だけなら,小学生でも勉強できます。クイズ王のような人と研究者は違います。研究者は,物事を理論的,構造的に理解しようとするわけです。ですから小学生のクイズ王には勝てませんし,勝つ必要もありません。

Q.最後に学生の研究テーマは具体的にどんなものですか
 自分の仕事や経歴と結びついたテーマが多く,現実的で具体的な研究が多いです。また,日本や外国の教育史,思想史の研究を選択する方も多いです。以下の過去における研究テーマの一覧を見ていただければわかるように,実に多彩です。学校の先生でしたら,やはり実際の教育現場から研究テーマを見つけているようです。大学の職員をしている方も多く,そうした方も大学に関係した研究(FD研究),たとえば「高等教育と教職員の資質開発」といった形で研究されていますね。ほかにも長年ボーイスカウトやボランティアに携わった経験を持ち,それらの教育的意味について研究されている方,またカトリック系の修道会の修道女として,宗教と教育について研究したいなんていうユニークな方もいます。
 要するに,研究テーマの設定は自由です。研究とは,具体的な課題を自ら設定し,資料収集・分析を行い,論文として仕上げるという作業のことです。一つのテーマに絞って問題の本質に迫ることが大切です。まずは,飛び込んでみましょう。研究の世界へ。私がナビゲートします。