陸亦群教授


「共存」,「共益」,「共創」という視点

Q.担当科目を教えてください。
 (博士前期課程)国際経済政策論特講
国際経済政策という概念は,一般的に一国の対外経済政策という意味で使われています。経済のグローバル化が進み,各国の相互依存関係が深まるなか,一国の経済発展は国際経済環境と切り離して議論することができなくなり,世界経済とりわけ成長市場のダイナミズムを自国経済に取り込むための対外経済政策は一段とその重要性を増しています。国際経済政策論は,国際貿易,国際金融,経済開発の3つの分野を分析対象としていますが,この科目は,主に国際通商政策,地域経済発展および地域統合の問題に焦点をあて,戦後から現在までの国際経済政策の歴史的変遷を踏まえて,「共存」,「共益」,「共創」という視点から,グローバル化がもたらした経済効果を分析し,現代における地域統合や対外経済政策の在り方について議論を深めていきます。

Q.先生のゼミの特色・院生のテーマは?
 
インターネットを使ってのサイバーゼミと対面的指導を組み合わせたハイブリット型ゼミを進めます。また,年一回のゼミ合宿を実施し,コミュニケーションの強化を図ります。研究テーマについては,院生各自の主体性と問題意識を重視し,研究課題を決めます。それに合わせて,研究計画の作成,先行研究成果のサーベイ,研究テーマ関連の参考文献目録の作成といったステップで進み,具体的な論文作成に着手することになりますが,修士論文作成に向けての中間報告や研究報告を行ない,院生同士の議論や指導教員のアドバイスを通じて修士論文の完稿をめざします。

Q.先生の研究テーマについてお聞かせください。
 
新シルクロードの研究発展を長期的研究課題として取り組んでいます。現在の研究テーマは「新興国における新たな開発戦略の取組みと多国籍企業の立地選択」です。
1990年代後半以降,アジア地域,特に東アジアでは生産輸出拠点としてのアジアと消費市場としてのアジアが重なり,「アジア経済のアジア化」が進行しています。東アジア新興国では,これまでとは違う新たなキャッチアップのプロセスが始まります。従来のキャッチアップは雁行形態型といい,主に産業移転による国際的伝播効果を柱としますが,新たなキャッチアップは新しい成長拠点がどのように形成されるか,つまり,集積のコアがどのように形成されるかに注目します。この新たなキャッチアップのプロセスを「ダイナミックキャッチアップ」といいます。
 ダイナミックキャッチアップには,「産業集積」,「企業生産活動のグローバル化」,「インフラネットワークの形成」の3つの要因が関わります。これは,「成長する東アジア」の経験をモデル化したものですが,その一般適用性を明らかにすれば,「停滞するアジア」とも言われる内陸部地域,とりわけ新シルクロード沿線地域の経済発展にも参考になります。新興国は如何にしてこの経済活動のグローバル化へアクセスするか,如何に企業生産活動のグローバル化にインセンティブを与えるかがキャッチアップ成功の鍵を握ります。
現在,多国籍企業の立地選択,企業行動の重要性を研究に取り組んでいます。